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東洋医学的治療各論:めまい、頭痛

め ま い(頭がくらくらする・ぐるぐる回る・ふわふわする・メニエール症)


めまいは眩暈と言います。眩は目の前が暗くなること、暈は頭がくらくらすることを言います。その他、目がかすむことによってくらくらすることを目眩、頭がくらくらして重くなり目がボーっとしてかすむものを眩冒と言いうように多くの呼び名があります。原因の多くは、体質的虚弱、肝風、痰気、精神的ストレスなどが係わります。
虚証と実証があり、虚証では■肝腎陰虚 ■心脾の気血、実証では■肝風上擾または肝陽上擾 ■痰濁阻閉などです。

■肝腎陰虚では、頭がくらくら し目がくらみ、気力がなく、腰や膝がだるく弱り、遺精、耳鳴りなどの症状がともなうことがあります。脈診ではく速い脈でを呈します。舌診では舌質が赤く少津少苔


■心脾両虚では、心脾の気血の不足することが原因です。動悸がして眠れないなどの症状をともない、疲れやすく疲れると食欲がなくなる、顔の血色薄く白い、またはやつれて黄色い、唇や舌の血色もうすいなどの人に起こります。


以上は虚証のものです。次に実証のものをあげます。

■肝風上擾または肝陽上擾では、肝気鬱滞しやすくイライラして怒りっぽく、不眠もしくは眠りが浅く夢をよく見る、口が苦いなどの随伴症状があります。熱の傾向があり、脈弦数実などの傾向を示します。


■痰濁阻閉では、頭が重く、痰が多い、胸が重苦しく悪心がするなどをともないます。


それぞれの治療法は以下のようになります。

□肝腎陰虚 では、不足した腎陰を補うことが治療の中心となります。復溜(腎経の足首内側のツボ)ならびに曲泉(肝経の膝関節内側のツボ)などに刺鍼し補法の手技操作を加えます。乾いた口が潤い項部などの緊張がゆるんでくれば効果がでます


□。心脾両虚 では、三陰交(足首内側の脛骨の後ろのツボ、脾経に属し血液に対する作用が大きい)神門(手首の横紋掌面の小指側にある心経のツボ)などに刺鍼し補法の手技操作を加えます。


□肝風上擾または肝陽上擾 では、肝の気の実(過剰な鬱滞)が根本的原因です。肝気が鬱滞すると肝鬱化火と言って火熱的作用を持つ病因に変化します。気鬱が強ければ太衝(足背肝経のツボ)に刺鍼し寫法の手技操作を加えます。火熱的病状が強ければ太衝穴の前方、行間(足の第1指の付け根の肝経のツボ)に刺鍼し瀉法の手技操作を加えますが、火熱を除く効果を狙い透天涼と言う手技操作に変えます。


□痰濁阻閉 では、原因となっている痰を除くため豊隆(足の脛のほぼ中央外側、胃経のツボ)ならびに陰陵泉(脛の骨・脛骨の内側上部の脾経のツボ)に刺鍼し瀉法の手技操作を加えます。また、痰を生じやすいタイプの人では脾気虚弱の場合があり、この場合、後に脾兪(背部のツボ)などで脾気を補い(健脾)、清気を上昇させ頭部に巡らせるようにします(昇清)。


◇また、肝風や肝陽上擾の場合にも、同時に痰が存在し係わっていることがあります。この場合は、太衝と豊隆を同時に刺鍼し、ともに寫法の手技操作を加えることになります。




頭痛、頭重、


東洋医学で考える病因には、次のようなものがあります。

風、熱、湿、痰、気虚(または実)、血虚(または実、汚血)など


それぞれの病因による頭痛の特徴は以下のようになります。

により起こる頭痛では、目がまわったり頭がふらふらするなどの訴えをともないます。脈は浮いて柔らかい感触を得ます。また、患者さんは風に当たると具合が悪くなり、風に当たるのを嫌う傾向にあります。


では、顔が赤く脈が強く速い、舌の色も赤味が強くなり、舌苔は黄色(茶色〜焦げ茶色)となります。頭痛は比較的強くガンガン痛いなどの場合が多くなります。


湿では、舌苔が厚く湿ぼったく、頭痛は重く頭全体を包まれるような感じに痛みます。身体とくに四肢(手足)のだるさをともないます。


では目や頭が眩み悪心や吐き気があり、舌苔がぬるっとして厚い、痰が出るなどをともないます。


気虚では、長く続く頭痛で、疲れる(疲れると気虚が増すため)と頭痛が起こる、または更にひどくなります。


血虚では額が痛み、午後に痛みはひどくなる傾向があり、動悸や眩暈(めまい)をともなうと言われています。脈は細く舌色は淡くなります。


汚血では、突き刺すような痛みが特徴となり、舌色は暗紫で汚点、汚斑と言った暗紫色の斑紋が舌の側面に見られたりします。


それぞれの治療法は以下のようになります。

により起こる頭痛では、曲池(手の陽明大腸経のツボで肘の外側にある)を寫します。


では、風による場合と同様に曲池を寫し、風池(後頭骨下縁部のツボ、足の少陽胆経)や頭部の痛みのを感じる部位に刺鍼します瀉法を加えます。また、風邪、熱邪は単独であるよりも、合して風熱の邪(病因)として頭部を侵襲することが普通です。


*後述の「気虚による頭痛」で用いる合谷は、風熱による頭痛の場合にも有効で、特に邪が外表部の浅いところにある場合、この合谷を寫して表を解き開き風邪を去る(去風解表)や鬱熱を消散させる効果があります。


湿は、次のと共通しますので、の項で合わせて説明します。


痰 湿と痰では、脾の気(働き)の虚(不足・低下)が原因となります。痰は湿が集まって形成され、湿は脾の運化(水分や消化吸収した栄養成分を運び必要な物質に変化生成させる働き)作用の低下によって生じます。また、蒸し暑いとき食欲が落ち体がだるいなど、外邪の湿と内に生じる内湿とは相互に関連しあいます。治療として、痰や湿を取り除くため豊隆、陰陵泉を寫し、後に脾兪、陰陵泉などに補法を加え脾気の不足を補います。


*また、痰は長く鬱滞すると熱をともなうように(痰鬱化火)なり頭痛症状も増悪します。この場合、痰熱として対応します。


痰熱では、豊隆に刺鍼し瀉法の手技操作に透天涼を加えます。


また、◇心火の亢進をともなう場合は神門、または、通里に、◇肝火の亢進をともなう場合は太衝、または、行間に、◇胃火をともなう場合は、内庭、または、解谿、または、陥谷に、それぞれ同様の刺鍼手技操作を加えます。◇肝風をともなう場合は風池、百会の刺鍼を加え寫法を施します。


気虚では、合谷(手陽明大腸経のツボで、手背部第2中手骨の中央親指側にある)気を主治するツボで気虚ではこれを補います。食が細く疲れやすタイプの人では、これに足三里(足陽明胃経のツボ、脛の骨、脛骨の上部の外方)に刺鍼し補法を加え、補中益気を図ります。補中の中は上腹部の胃のある部分「中焦」の意味で中焦の消化吸収をつかさどる脾胃の気を補い、不足している気を増し(益気)ます。


血虚では三陰交をに刺鍼し補法を加えますが、腎肝虚が太谿、復溜、曲泉などに補法を加えます。


汚血では、三陰交、または、血海に刺鍼し寫法を加えます。


その他の頭痛症状への対応・・・

◆項から後頭部が痛い場合では、この部位は足の太陽膀胱経の流れるところです。外くるぶしとアキレス腱の間に崑崙(こんろん)と言うツボがあります。項部と同じ膀胱経のツボです。ここに刺鍼し瀉法を加えます。多くの場合これで軽減解消します。効果弱ければ、手の太陽小腸経のツボ後谿(こうけい)に刺鍼を加え、先の崑崙と同時に瀉法します。手足の太陽経絡は流注上連続していますから経絡の気の流れがさらに促進され効果が強まります。それでも頭半棘筋の緊張が強く大後頭神経の痛み(圧痛=押すと痛い)が強ければ神経解剖学的側面から第2経神経への刺鍼を行います。


◆目の奥が痛い場合、東洋医学的に対応治療した後に目の奥の痛みが残る場合、神経解剖学的側面から第2経神経前後への刺鍼を行います。目の奥の知覚は三叉神経支配領域で三叉神経は頸髄路といって頚へ神経線維を下しています。頚部の過緊張が解けると目の奥の痛みも消えるます。







以上の治療で頚肩部の筋肉の緊張(肩凝り)などが残る場合、さらに神経解剖学的側面からの治療「頚椎側刺鍼法」を加えることになります。