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頚部の神経解剖学的側面からの治療

頚椎側刺鍼法

頭部、顔面、眼、耳の症状の治療では頚部、特に経神経叢に神経を送る上部頚椎の治療が重要となります。


◇ 【頚椎側刺鍼の刺鍼点の決め方】
  触診によって緊張の強い頚神経の高さを診ます。

  1. 胸鎖乳突筋(耳の後ろから首の前下部の胸骨へ斜めに下る細長い筋肉)は、第1、第2頚神経(第1、第2頚椎から出る神経)の支配(前枝)です。この筋肉をつまんで緊張(凝りや硬さ)や痛みがあるかを診ます。つまんで硬く凝っていて痛みがあれば第1、第2頚神経前枝の緊張(興奮)が強いと考えられます。さらに、第1頚神経は運動性で知覚神経はありません。これに対して、第2頚神経は運動と知覚両方向(運動は遠心性・知覚は求心性)の神経線維を出していますから、凝って堅いだけで痛くなければ第1頚神経のみの興奮、凝りと痛み両方あれば第1、第2頚神経とも、痛みのみ強ければ第2頚神経の興奮が強いことが予想されます。

頭半棘筋(項部から後頭部に付く太い筋肉)に凝りや痛み不快感を訴える患者さんは多くいますが、第1第2頚神経の後枝の緊張と関係します。第1、第2頚椎の刺鍼を行いますが、これで頭半棘筋の凝りと痛みが軽減しなければ第3頚神経以降の後枝の興奮が関係することになります。また、この筋肉をすり抜けるように大後頭神経が後頭部へ登って行きますが、この大後頭神経も第2頚神経(後枝)から枝別れした繊維です。

僧帽筋(後頚部から肩甲背部を広く覆う筋肉)の肩上部をつまみます。この筋肉の凝りと痛みは第2、第3、第4頚神経(前枝)と関係します。

肩甲挙筋(肩甲骨内側上部の角を上に引き上げる筋肉)を肩甲骨の角のところで押し揉むようにして凝りと痛みを診ます。この筋の凝りと痛みは第4、第5頚神経(前枝)の興奮と関係します。上の3.僧帽筋に凝りと痛みがあって、この肩甲挙筋に凝りと痛みがなければ、3.僧帽筋の凝りと痛みは第2、第3頚神経由来のものと考えられます。


◇ 【頚椎側刺鍼の刺鍼点の取穴法】 頚神経の刺鍼点(治療穴)の取り方

頚神経は頚椎の外側に出っ張っている横突起上部の窪みに沿って出てきます。横突起の後ろは、上下の椎骨同志が関節となる椎間関節の関節突起が出っ張っています。頚神経への刺鍼点は椎間の高さでこの横突起と関節突起の移行部を目標に取ります。第1頚椎(環椎)では横突起の上に第1頚神経、第1頚椎(環椎)横突起は後頭骨乳様突起の下に出っ張って触れます。その下に第2頚椎横突起の出っ張りその後に後ろ側が斜め下に傾斜した第2頚椎の関節突起の出っ張りが触れます。下位の第3頚椎以下の関節突起は、この第2の下に関節の隙間を触診して数えて行きます。または、下部で最も大きく触れる第6頚椎横突起から後方の関節突起を触診して数え上げて行くことになります。


◇ 関節突起に硬結と圧痛が強いばあい

頚椎を触診していると関節突起に硬結と圧痛が強く、堅く骨が出っ張っているように触れる場合があります。これは、椎間関節に付着する小筋(多裂筋など)の緊張が強いためで、この場合、関節突起の上外縁を傾斜に沿って(約45度)後下方から上の頚神経の刺鍼点の横突起と関節突起の移行部へ向けて刺鍼する。後枝支配の自所的筋群の緊張はこれで取り除くことが出来る。項部の頭半棘筋の硬結圧痛が残る場合も同様手法で解決する。


備考:横突起後結節からの刺鍼は、前枝への作用が強く、関節突起からの刺鍼は後枝への作用が強い。どちらかの刺鍼でも前枝支配域・後枝支配域へともに有効となるばあいもある。したがって、僧帽筋、肩甲挙筋、上腕二頭筋など前枝支配の筋に硬結・圧痛が強いばあいは前枝へ(後結節から)の刺鍼を行い、頭半棘筋や関節突起部の硬結・圧痛(多裂筋など自所的筋群に硬結・圧痛)では後枝(関節突起)から刺鍼することを選択する。