セイ鍼灸院ホームページ (資料6) 脈診
脈状診(みゃくじょうしん)
◇ 脈状は本来、脈象と言う。脈のかたち形状を見分けことにより診断に結びつけるものである。実際には、脈診以外の望聞問切の四診と総合的に判断される。次項の脈象を参照。下表に
脈象の種類と、その特徴、診断的意味をまとめる。
正常な脈状
平 脈
(へいみゃく)
|
浮ならず、沈ならず、中位にあってやんわりと力強く
(胃の気がある)、落ち着いた律動があり一呼吸に
四〜五拍動(1分間に約60〜80拍、15秒間に約1
5〜20拍) |
健康で正常な脈象。常脈、胃の気の脈 とも言う |
主要な脈象 |
形状・感触の特徴 |
診断的意味 |
沈 (ちん)
|
軽く触れて拍動を得ず、強く押えてはじめてこれを
得る。 |
主病は裏にある。 |
遅 (ち)
|
拍動がゆっくり。1呼吸に4拍動以下(平脈の脈拍
数より少ない1分間60拍未満、15秒間に14泊以
下) |
寒証。または陽気が実邪に阻止され渋滞してい
る。 |
数 (さく)
|
拍動が速い。1呼吸に5拍動以上(平脈の脈拍数よ
り多い。1分間80拍以上、15秒間に20拍以上) |
熱証。 |
滑 (かつ)
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なめらかで滞らず、大皿上を玉がころがる様。 |
痰飲、食滞、実熱。または妊娠、ほか健康時に
もある。 |
渋 (じゅう、
または、
しょく)
|
なめらかでなく、弱く・細く・遅く、1呼吸に3〜5動と不
規則、ナイフで竹を削る様な感触。 |
血虚で精気が傷つく、津液が損失、気が渋滞、
血が鬱結することによる。貧血、心不全など。 |
虚 (きょ)
|
浮大で軟らかくて力なく、空虚な感じがする。 |
虚証。気虚、血虚、失血、脱水など。 |
実 (じつ)
|
軽く押えても、強く押えても、充実感がある力強い拍
動。 |
実証。実熱が内部に結滞する、痰が溜まり、不
消化物が胃腸に停滞するなど。 |
微 (び)
|
細く、小さく、軟らかく、あるかないか判らない程の
拍動。 |
気血不足で、衰退した状態。ショック死、虚脱、
慢性虚弱 |
洪 (こう)
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波が湧き起こるようで、来るは強く、去るは弱い。 |
熱邪極めて盛ん。虚労、失血、泄瀉では病状が
さらに進む。 |
緊 (きん)
|
力強く、ピンと張った感じ。 |
寒邪に外表を拘束されたか、裏寒が盛んなど。
寒邪に消化不良が重なるとよく見られ、腹痛や
関節痛が現れる。 |
緩 (かん)
|
脈の拍動がゆるんでしまりがないもの。(穏やかで
均一なものは正常) |
湿邪による疾病。または胃腸虚弱など。 |
濡 (じゅ)
|
浮脈で、細く軟らかい。 |
湿邪の滞留。または亡血により陰気受傷。 |
弱 (じゃく)
|
沈脈で、軟らかく弱い。 |
気血不足、虚弱証。 |
散 (さん)
|
浮脈で、軽く押えると分散してまとまりがなく、乱れて
いる。 |
元気の消耗霧散による。病の危篤段階。 |
細 (さい)
|
沈脈で、糸のように細いが強く押えるといつも触知
できる。 |
血虚。陰気、津液の欠損。陰損及陽など、気血
が少なく衰退した病症。 |
伏 (ふく)
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沈脈で、強く骨に着くほど押えて、はじめて触れる。 |
厥証。激痛、または邪気が内部に閉塞した病
症。 |
弦 (げん)
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ピンと張った楽器の弦のように強く真直ぐで長い。 |
肝、胆の疾患。または痛証、風証、痰飲、瘧疾
など。 |
(こう)
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浮で大きく、押すと中が空虚。葱をつまんだような感
じ。 |
大失血の後。 |
革 (かく)
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弦で大きく、押すと中が空虚。 |
亡血、遺精。 |
牢 (ろう)
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沈伏にて、弦長大で非常に硬い。 |
陰寒が積聚する??、痞塊、疝気など。 |
長 (ちょう)
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波動の幅が正常より大きく、指には大きすぎると感
じる。 |
穏やかならば中気旺盛で健康。弦で硬いのは正邪ともに旺盛な実証で、実熱が内部に結滞し、熱邪が盛んな病症。 |
短 (たん)
|
波動の幅が短く、関部では明瞭に触知するが、寸・
尺部でははっきりしない。 |
気病。有力ならば気鬱、気滞。無力ならば肺気虚、中気不足。 |
結 (けつ)
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遅、弱で規則的な間欠性がある。 |
寒凝気滞、疝気、積聚、心臓血管系の疾病。 |
代 (だい)
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緩、弱で規則的なやや長い間欠がある。 |
臓気の衰微。心臓病。 |
大 (だい)
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波動の幅が平常の倍で、全指に触れる。 |
有力ならば邪熱実証。無力ならば虚損で、気が内部で保持できない病症。 |
促 (そく)
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数で、不規則な間欠性がある。 |
陽熱が盛んで、気滞、血於、停痰、食積などがある。 |
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◇ 診断に当っては、脈象と主症状、一般的症状を統合
@ まず、主症状(主訴・愁訴)を確定する必要がある。主症状は、一症状でも、密接に関連する二つの症状でも、一連の症候群でも良い。
A 次に、脈象を確定する。(脈診の正確さが鍵となる。)
B 主症状と脈象を結びつけて分析する。
C 一般的症状をも参考に分析を統合して、証を確定する。
六部定位脈診(ろくぶじょういみゃくしん)
◇ 六部定位脈診
六部上位脈診では、左右の寸口・関上・尺中の六ヶ所の浮位に陽経と腑を、沈位に陰経と臓を配当し、相互の脈の強弱(虚実)を比較し、各経脈の虚実関係を調整して治療するものである。
また、それぞれの部位での特徴的脈象を参考にすることもある。
寸口、関上、尺中の位置、及び指の当て方、押さえ方などは脈診に順ずる。参照みゃくしん(脈診)
各臓腑経脈の配当は下表のとおりである。
また、寸口は上焦(身体の上部)、関上は中焦、尺中は下焦(下半身)の病状が反映される。
脈診部位臓腑(経脈)配当 |
左 |
六部定位 |
右 |
浮位 |
沈位 |
沈位 |
浮位 |
小腸 |
心 |
寸口 |
肺 |
大腸 |
胆 |
肝 |
関上 |
脾 |
胃 |
膀胱 |
腎 |
尺中 |
心包 |
三焦 |
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