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セイ鍼灸院ホームページ (資料7) 舌診

 舌診(ぜつしん) 


 舌診は「舌質の診方」 と「舌苔の診方」に分けます。



 舌質(ぜつしつ)の診方

1.舌質の形状や動きの診断的意味

(1) 肥大、脹?(ヘツ、痩せて薄くペチャンコの意)、歯痕の有無などの舌の形状の診断的意義

胖 大

胖嫩(ドン)とも言い、舌質がむくみ(浮腫)で大きくなり、柔らかいため、舌の側面に歯に当った痕(歯痕)ができる。淡白色で湿潤している。

気虚、陽虚 (脾虚、脾陽虚、脾腎陽虚)

歯 痕

舌質本体の側面に歯に押し当った痕があるものを歯痕と言い、舌質の胖大のしるしとなる。

気虚、陽虚 (脾虚、脾陽虚、脾腎陽虚)


(ヘツ)

舌質の本体が痩せて薄く、鮮紅色のもの

陰虚

肥 大

舌が腫脹し、歯痕はない、深紅色

心脾の熱が盛んな場合

老 嫩

老:表面の紋理は粗く、舌質の本体が縮まって硬い感じに見えるのも、紅絳色で乾燥している

実証、熱証

嫩:表面の紋理が密で、舌質の本体がむくんで柔らかいもの、淡白色で湿潤している

虚証(陽虚)、もしくは、寒証

裂 紋

舌面上に亀裂があり、舌質の色が淡白のもの

気血両虚

舌面上に亀裂があり、舌質の色が紅絳のもの

熱盛傷津

栄 枯

乾 潤

栄:潤いとつやがあるもの 潤:栄に同じ

津液が充実している。

枯:潤いとつやがないもの 乾:枯の同じ

津液の損傷、不足。

(2) 戦、痿軟、強硬などの舌診上の意義

痿 軟

舌が弛緩し無力となり、動かせないもの

舌の筋脈が栄養分を失ったもの

陰液の虚損

新しい病気で舌が赤く乾いている

熱盛傷津

久病で舌が深紅色で乾いている

陰液虚損の極

久病で舌が白いもの

気血両虚

 戦

(顫動センドウ)舌のふるえ

紅絳色で舌体が弓なりに痙攣するもの

熱極生風

紅色で乾燥、めまい、手足の振るえ

虚風内動≪参照≫

紅絳色で乾燥している場合

熱盛傷津によるか、久病での陰液極耗

白色で湿潤している場合

気血極虚

強 硬

舌が硬直し、ろれつが廻らないもの

紅絳色で、乾燥し、高熱がある場合

熱盛傷津

紅絳色で、乾燥し、高熱に、うわ言や意識の昏迷が加わる場合

熱入心包、または痰濁内阻

麻痺、半身不随が起これば

中風(内傷雑病)


2.舌質の色の診断的意味

淡 紅

(赤ちゃんのベロの色)

正常な舌質の色

淡 白

淡白 

虚証(気虚、または血虚)寒証(陽虚)

?(へつ:舌体が痩せている)場合

気血両虚

胖嫩(はんどん:舌体がむくんで歯痕がある)場合

気虚、寒証があれば陽虚

赤い

熱証

(または紅絳)深紅色のもの

熱証

赤紫

熱が盛んで紅絳舌から更に進展

青紫

紫舌、紫斑(斑)


3.舌の部位と五臓の配当

舌根部・・・・腎

舌中央部・・・脾・胃

舌側部・・・・肝・胆

舌先部・・・・心・肺

右の図参照



 舌苔(ぜつたい)の診方
1.舌苔の色の診断的意味

白 苔

薄く白色できれいなもの

胃の気の現れたもので正常

病理上の白苔

風邪、寒邪、湿邪なの外感表証

なめらか(滑)で薄く白い場合

内部に寒湿があるか、外感の風寒による。

乾いていて薄く白い場合

津液不足か、外邪が化熱し津液を傷つけ始めた状態。

厚白滑

内部で湿濁が盛んな状態を示し、もし表証があれば外感が内湿を誘発していることを表す

厚白乾

熱に津液が傷つけられ、湿濁が昇化しないため。

黄 苔

黄苔

熱邪が裏にある状態を表す。熱証。

黄色くなめらかな場合

湿熱。外邪が化熱して裏に入ったが津液はまだ傷ついていない。

黄色くねっとりしている場合

脾胃に湿熱があるか、痰湿、食滞があるため。

舌質の色が淡く、舌苔が黄色味がかって
濡れている場合

脾虚により湿を化せないため。

黄苔と白苔が混じる場合

湿熱、もしくは、外感の風寒の邪が化熱し裏に入ったもの。

老黄苔(濃い黄色でザラザラしたものを
言う)

胃腸に熱が蓄積し、津液が傷ついた状態。

灰 苔

灰白色の苔

湿濁の内停を表す。

黒 苔

黒灰色の苔

裏病を表し、病状が重い。

舌質の色が淡白色で苔が濡れてなめら
かで黒灰色の場合

陽虚により寒性の病気が発生したか、寒湿の邪が内部に隠れていることを現す。

舌質の色が深紅色で苔が乾いていて黒
灰色の場合

熱が甚だしく、津液が傷つけられた状態。


3.舌苔の厚さの診断的意味
    舌苔の厚さは病邪の侵入位置の深浅や津液の有無をしることができます

舌苔を透して舌質が透けて見える(白色
の薄い苔)

正常な胃の気の現れ。または、邪がまだ浅い外感表証。

舌質が苔に隠れて見えない

邪実で、外邪が裏に入った状態か、食積、痰湿など。

舌全体に苔はないが、
表面に糸状乳頭などの
顆粒が認められる

乾いているも

陰液の損傷

湿り気のある
もの

胃気の虚衰

鏡面状

舌全体に苔がなく、表面に顆粒が認めら
れずツルンと光っている

肝、腎の真陰が失われた病証で、無苔よりさらに重い状態。


4.舌苔の性状による診断的意味

苔が濡れていて、サラッとしていて厚くない

正常な舌苔で、津液が充実している。

厚くねっとりしているもの

湿邪

湿っていて、つやがあるもの

湿邪、または痰濁をあらわす。

薄白滑

薄白でなめらかなもの

表に寒湿の邪があることをあらわす。

白粘

白色で粘性のもの

内部の痰湿を現す。

薄黄滑

薄く黄色でなめらかなもの

湿熱であるが、外邪が化熱し裏に入り始めたもの

黄厚粘

黄色で厚くねっとりしているもの

湿熱、または痰熱が盛んなことをあらわす。

膩(じ)

濁って光沢のある粘液が全体を覆って、拭
取りにくいもの

湿濁内停、食積、痰飲が内部を塞いでいる状態。

腐(ふ)

豆腐かすのような苔が浮いて付着し、拭取る
ことが出来るもの、全面を覆う場合と剥離し
まばらな場合がある

食積や痰濁内停で、胃腸内の不消化物が腐化したが、胃気はまだ傷ついていない状態。

剥離

胃気や胃陰の状態をあらわす。

一部分が(とくに中央付近で)剥落するもの

胃気の虚衰

剥落部が乾いているもの

胃陰不足

苔垢

(たいこう)舌苔に汚垢がまじっているもの

未消化の食物、または、湿濁の胃内停滞をあらす。


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