ここ何年か、『佐々木さんに紹介されました』と言う初診患者さんがときどき来る。佐々木さん・・・だけで下の名前が分からず何処の佐々木さんなのか分からなかったのですが・・・。
このたび紹介さらて来た患者さんが下の名前を記入していたので、謎だった佐々木さんが誰だか分かりました。分かったと言っても、治療記録のカルテを見つけられた・・・と言うことだけだで、顔は思い出せませんが・・・。
紹介されて来た初診患者さんたちは『佐々木さんが「膝の痛みが1回で治った」と言っていた』と言いますが、カルテには2日つづけて2回治療していました。
その佐々木さんの症状は、膝の内側「内惻側副靱帯」の中央付近「関節裂隙」線上と脛骨頭の内側顆で大腿内側の3つの筋が腱となって付着する「鵞足部」の痛みでした。
膝の治療・・・・・
○ 第1は、大腿四頭筋を筆頭に膝の運動に関わる大腿部の筋の状態を良くすること
○ 第2は、圧痛のある部位=炎症がある=の圧痛を無くす
・・・・・・・・この2点です
他にあるとすれば・・・・
○ 水が溜まっている場合・・・循環を良くして吸収除去させる
○ 発赤して熱感がある・・・のどは鍼治療中に消失します
・・・この後者2項目は、正しく鍼の治療理論に従って経脈を調整できれば治ることで膝以前の問題です。
佐々木さんのカルテには、「膝蓋跳動(陽性)」となっていますから「膝に水が溜まっている」でした。
膝痛の他に『めまい』の訴えがありましたので、鍼治療はこれらを合わせて行いました。
第1回目(平成31年3月14日)
①(私のカルテ記載で、①は脈診舌診腹診切経からの経脈調整を記録)足三里平補平瀉、陰陵泉平補平瀉にて水湿の運化を図る。三陰交・内関双瀉。
膝蓋上内角・外角のそれぞれ上2横指ほど蓋上内外点に刺鍼(腫れが著しい場合は腫れの境目)
② 頚椎側刺鍼Ct(頚椎関節突起から横突起後結節方向へ刺鍼する場合の記号)第2両側、第3右のみ、C(頚椎側刺鍼で横突起後結節から直刺した場合の記号)第2両側、第3両側。
③ 膝内隙点巨刺(圧痛点の反対側の対称点に刺鍼する) L→R(左を右)に刺鍼。
第2回目(平成31年3月15日)
① 前日に同じ
② 腰椎側刺鍼にて大腿部の筋の硬結を除く。左側第3、第4、第5・・・委中・足三里・大腿二頭筋腱間点双瀉
③ 左足三里灸、左内隙点圧痛に知熱灸
以来、佐々木さんは膝の痛みで困ることはないようで・・・紹介されて来る患者さんは『佐々木さんが「1回で治った」って言ってました』と異口同音です。
(佐々木さんが1回ではなく、実際には2回だった・・・理由は、1回目の治療途中で大腿四頭筋の硬結・圧痛が不明瞭で圧迫して「痛いですか?」と訊いたとき『痛くない』と答えたからだったと思えます。1回目には、大腿四頭筋の筋緊張を除去するための腰椎側刺鍼を行っていませんでした。2回目には行っています。)
変形性膝関節症・・・と言われても変形の程度はさまざまです。初期のものは鍼治療後何年にも渡って痛みが出ない場合はあり得ます。