複視 ・ 両眼複視 ・ 眼精疲労 など

複視の鍼治療は1985年(昭和60年)私立の総合病院で「東洋医学科」として診療していたときの1症例目から200症例以上となります。多分、国内で個人の鍼灸院としての症例数は最多となるのではないでしょうか?
この病院勤務時の複視症例第1の患者さんはトラックドライバーの方で、突然、物が二重に視え、脳梗塞の疑いで検査入院し、検査の結果、異常は見つからず主治医から「鍼治療が適するのではないか?」と回されてきたものでした。今、思えば昭和60年にして先進的なことではありました。この患者さんは、反関の脈で実脈、赤ら顔、暑がり、汗かき・・・と極端な陽実証タイプの方でしたが、実脈を落ち着かせるように瀉法をして、赤ら顔など上気している気を下へ引き、項頚部の緊張・硬結を除去するように治療していると・・・天井を見上げながら『あッ!治った!』と治療途中に治ってしまいました。発症から2日目と早い時点で鍼治療を受けたことが幸いしました。

同じような症例は開業後もあります。小田原の女性(60代後半)は、やはり突然、複視となり病院検査で異常が見つからず、孫娘がネットで調べ70代の夫が運転する軽トラックで来院。発症から3日目と早期に鍼治療を受けたことが幸いし、やはり1回の治療で治ってしまいました。
その数年後、座骨神経痛で来院しましたが、複視の再発はありません。
第1例目のトラックドライバーの方も、開業後の治療院に腰痛症で受診されていましたが、複視の再発はありませんでした。

早期に鍼治療を受けることが早く治ることにつながりますが、鍼治療ならば何でも良いか?と言うと・・・残念ながまがい物多い・・・のが現状です。

まがい物に引っかかった広島さん(広島市在住60才男性)は、複視を発症し病院検査で特に原因が見つからずネット検索し上位でヒットした銀座の鍼灸院へ通いましたが10日通っても何の改善も感じられず当院を受診してきました。発症から3週間ほど経ってのことです。

この患者さんの両眼複視は「左眼外転神経麻痺」との診断でした。

外転神経麻痺では眼球を外へ引っ張る外側直近の力が弱くなるため、拮抗して内側へ引っ張る内側直筋が優位に働き眼球は内側を向く「内斜位」となります。眼の中心で視るとこがズレるため脳で左右の眼の像を重ねたとき二重に視えることになります。
二重に視えるのは、外転神経麻痺(外側直筋麻痺)の内斜視(位)の角度より遠くの物(下図参照)で、赤いマークAは二重に視えますが、左眼内斜視(位)の角度より近位(下図参照)緑のマークBでは一致して見えます。

当院では、外転神経麻痺による両眼複視の治療では、上述の近位で一致する距離(外側直筋の麻痺の程度によって異なる)を治療前と治療後に「眼指間距離」として測定し、外側直筋の筋力が回復するにつれてこの距離が伸びて行くことを確認、治療効果の評価に使うことにしています。(下図参照)患者様も納得して治療を継続できます。

このようなことから、当院での治療効果を実感された広島さん・・・広島から28回通院し完治されました。
もし、銀座へ行かずに最初から当院へ受診されていればもう少し少ない治療回数で治癒されたかもしれません。

追伸:「毎回通院されるのはたいへんでしょうから、ウイークリーマンションでもお借りになったらどうですか?」と訊ねると広島さん『ネコを飼ってて、1階の掃き出し窓を細く開けてあるんで帰らなくちゃならない・・・』とのこと、ネコちゃんが愛されていることもさることながら・・・、『1階の掃き出し窓を細く開けて』神奈川まで往復・・・広島はそんなに安全な町なのか?!

以前の旧ホームページの「当院の複視治療成績」を参照までに載せておきます。