湿疹・蕁麻疹・アトピー

湿疹蕁麻疹ジンマシンなど皮膚症状で鍼灸院にかかる人はほとんどない・・・と思いますが、皮膚症状にも鍼治療は有効です。
私自身の経験から…、食品からの蕁麻疹2回と漆かぶれ1回、程度の差はあれ3回ともミミズ腫れに赤く腫れて発熱…最もひどかったのは漆類の木をノコギリで切った夜の腫れと熱でしたが、自分で鍼をしてスゥ~ッと熱が下がって治癒しました。
内経医学古典鍼灸医学)では、皮膚に赤く発赤・発疹が出る原因を体内の血分に入った熱毒(熱邪)を体表(外)へ追い出そうとする身体の反応と見ます。悪い物が体内から体外へ出ると考えれば皮膚が赤くなったり湿疹が出来たりすることの方が…、そうならないで体内に熱毒がこもったままよりもいいことだと思えます。

鍼治療は、熱毒を外へ追い出すその反応を助け表を開き外へ出やすくするとともに、原因の血分の熱を除く処方を行います(原則論的には)。
もちろん…、個々の患者様の状態を把握し最も適した処方(取穴と手技)を選ぶことになりますが・・・。

治療の主要穴は、表を開き熱を除く作用があり、皮膚をつかさどる肺大腸の経脈のツボ「曲池キョクチ」穴と血分に強く作用のする「三陰交サンインコウ」穴です。
これに補助穴として足陽明足三里」穴(この足三里とともに先にあげた曲池も陽明経脈のツボですが、この陽明の経脈は半表半裏と言って体表にも体内の裏にも効果ある便利な経脈です)、熱を除く「内庭ナイテイ」穴、血と熱はともに心に関係深いので「内関ナイカン」穴や「神門シンモン」穴など…。(用いない場合もあります)

また、症状状態に合わせて使い分けします。
*アトピーなどで湿疹が、
 ・赤くカサついている場合は…
  燥熱(乾燥した熱)熱を除き、陰水の不足が残ればこ
  れを補います(たいがいは、熱が除かれると陰水の不
  足はなくなります。)
 ・湿疹が湿ってジュクジュクしている…
  足三里瀉とともに陰陵泉瀉もしくは平瀉平補にて水湿
  を運化します。

本日、受診されて湿疹の患者さんは …
… 先月『蜂に刺された手指の腫れが引かない』と来院した女性のご主人でしたが … この蜂刺されの腫れも鍼で軽減~改善しました。

さて、本日、受診されて湿疹の患者さん(60代男性)は、3週間前から全身に赤いポツポツした湿疹が出来だしとても痒いと言います。2年前にも同様の湿疹が出来たことがあり、皮膚科受診し飲み薬と塗り薬をもらい治ったが、今回は3週間経つが湿疹がつづいている。痒みは飲み薬が効いているのか…今は痒くない。

鍼灸医学的診察
脈診(脈状診)は 有力(高血圧がある)数の傾向なし72/分
六分定位比較脈診は 右関上寸口有力 …右寸口は肺・大腸、右関上は脾・胃です。右尺中も有力で、心臓に関係する心胞が配されます。
腹診は臍ヘソの右外方に若干の張り…右は肺・大腸です。
舌診は舌質赤く大きい、舌苔はやや少ないが津液は潤滑です。
募穴、右中府軽度硬結
左前腕…心胞経…曲沢穴前に硬結
両前腕…心経…少海穴前に極軽度硬結
顔面、頬から顎下前頚部赤い

当院の鍼治療
三陰交瀉加透天涼 内庭曲池瀉加透天涼 足三里瀉加透天涼 内関瀉加透天涼 神門瀉 右申脈瀉(右項部に硬結があるため)(「瀉シャ加カ透天涼トウテンリョウ」は「瀉」邪気実を取り除く瀉法の手技を用い意味「加」は漢方薬方と同じく「加味・加える」意味「透天涼」は熱を除く手技)

40分ほど経過
頬の赤みが軽減、舌の赤く大きい感じも改善、脈の有力が穏やかになると患者さんは『気持ち良くなって来ました』と言う。
湿疹の赤さ低減感あり。
治療を終えると…患者さん、手足の湿疹を見て『良くなってます』と言います。
完治までは数回治療を繰り返す必要があります。

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