患者は『3月から4月5月に・・・めまい・・・に悩まされる』と言う。春は肝気が旺気し肝の症状がでやすくなります。
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患者・・・60代女性・・・
『職場のストレスで胃が痛くて食欲不振になったところに過労が重なり、疲労困憊し・・・ここ1ヶ月ほどで体重が2㌔も減った。』と言い。『急に老けて…オバアさん…みたいになっちゃった』と言います。
私も一見して・・・そう感じました。もちろん言いませんが。
この患者さん胃痛の他に、頚から肩に痛みがあり、腰痛・坐骨神経痛もあります。
また、春3月から5月にかけては、毎年のように「めまい」に悩まされるのだ…と言います。
漢方や鍼灸医学では…、
ストレスが心身を襲うと、気の流れが鬱滞し体調不良を招きます。
まず、ストレスの影響を受けるのが「肝」です。「肝」は、のびやかに気が流れること好む臓器とされ、ストレスをうけると気の流が滞りの肝気鬱結(肝鬱)を起こし機能が失調します。
・・・肝気鬱結の症状としては脇腹の張りや膨満、かすかな痛み、胸苦しさなどがありストレスを受けたとき増悪します。また、鬱結した肝気が上へあがる(上逆)と咽喉部に異物感や痰がからんで取れない感覚となり、鬱結した肝気が横方向へ影響(横逆)すると脾胃の症状、食欲不振・胃痛・胃液の逆流(酸っぱい液が上がる)を起こします。若い女性であれば生理痛生理不順なども・・・
また、「めまい」は肝の症状とされます。そして、全ての事象を「木・火・土・金・水」5つの属性に分類する「五行」では、肝気は「木」に属し、四季(四時)の分類「春=木、夏=火、秋=金、冬=水」の「春=木」に属し、肝気は春に活発・旺盛(旺気)します。このため肝の症状である「めまい」の春に起こりやすいのです。
よく耳にする「良性発作性頭位性めまい」ですが、この原因は筋肉の凝り、とくに頚部の凝りに原因があります。鍼治療をして頚肩部の筋肉の状態が良くなると直ぐに起こらなくなります。これは、平衡感覚や身体の姿勢や動きを筋肉や腱にあるセンサー(筋紡錘・腱紡錘)で感知し脳へ情報を伝えています。脳では、この筋肉から情報の他、眼からの縦横(水平垂直)視覚情報と内耳の前庭神経(三半規管)からの情報とを上位中枢で統合処理して平衡感覚を意識しています。・・・ですが、肩凝り、首凝りで、頚肩部の筋肉の状態が前後左右アンバランス収縮(緊張)していると筋肉や腱にあるセンサー(筋紡錘・腱紡錘)からの情報が正確でなくなります。この情報の誤差が大きいときは「回転性のめまい」が起こり、誤差が小さい場合は、ふわふわする・ゆらゆらするなどの「浮動性のめまい」を感じます。ここで問題となる筋肉ですが、五行では「筋」も「木」に分類され「肝」のつかさどる(管理する)ところなのです。
また、頚肩部の凝りが消えても「めまい」が残ることが希にありますが、三半規管の浮遊耳石の可能性があります。この場合も、鍼灸医学では耳(内耳三半規管を含め)や脳は「腎・水」のつかさどるところとして、腎陰腎水を補う「髄海(脳)を補う」ことで対応します。これは、また、筋の症状改善にもつながります。五行では、相生関係と言い「木」は「水」を受けて成長しますから「水」は「木」の母、「木」は「水」の子と言う母子関係になり、母の「水」を補うことで子の「木」は良好となります。水分不足の筋肉に水分が補給されることになります。

・・・・・・・鍼灸医学的診方・・・・・・
脈を診ると「弦脈」または「左関上(肝・胆を診るところ)の脈が有力」で「右関上(脾・胃を診るところ)の脈が弱く触れ難い」
腹診では、お臍(へそ)を中心に「中央・土」として五行を配しますから、お臍の左(患者の左)側が「東・木・肝・胆」になり、右側が「西・金・肺・大腸」、お臍から上にかけて「脾・胃」をそのさらに上、鳩尾(みぞおち)の辺りに「南・火・心・小腸」を、下腹部に「北・水・腎・膀胱」を配します。この患者さんでは、お臍の右側「肺・大腸」は柔らかく、左側「肝・胆」に張った硬い感触があり押すと痛みがあります。お臍から上「脾・胃」では、押すと重苦しく不快で、さらに深く圧すると硬い感触で痛みがあり「肝気横逆」の状態です。


舌診では、舌本体(舌質)の色やや暗紫(気鬱による血行不良・汚血等の意味合い)。舌表面の舌苔灰白色でやや厚くやや乾き気味です(本来の薄白苔が、灰色がかっているのはやや鬱熱ぎみ、やや厚いのは表から裏に掛かっている、季節的に風寒の邪気?)。やや乾きぎみなのは陰虚水分不足の傾向あり、脈左尺中細弱)
・・・・・ 鍼 治 療 ・・・・・①の主処方から②へ・・・番号順に随伴症状を処置して行きます
- 太衝(瀉) 足三里(瀉) 内庭(瀉、解谿を代用)、内関(瀉、太衝瀉の疎肝利気作用を強化促進するとともに心窩部から胃部にかけて緊張を緩和します。) ・・・・・・脈左関上有力が消え右関上に柔らかく適度の力強さの「胃の気の脈」を確認し、お臍の左側の張り硬結・圧痛の消失、上腹部胃部中脘穴付近の圧迫時の不快感、硬結・圧痛の退少消失を確認します。
- ①の足三里・内庭(瀉)にて舌の灰白苔が「薄白」に改善しない場合、曲池(瀉)を加えます。また、左顎関節痛の訴えがありますので、左曲池と左右足三里を双手瀉法しながら口の開け閉めを2~3回繰り返させします。3回目には開けやすくなります。舌質の暗紫色が「淡紅色」に改善しない場合、三陰交(瀉)を加えます。
- 申脈(瀉)・・・項頚部頭半棘筋の硬結・圧痛の改善を確認。効果が弱い場合、肩峰後下部肩貞穴・臑腧穴付近の三角筋・棘下筋・小円筋などに硬結がある場合、手太陽経脈と足太陽経脈の一対治療として後𧮾穴・申脈穴を双手瀉法します。項部頭半棘筋の硬結・圧痛が消えやすくなります。
- 足臨泣(瀉)・・・脇、側腹部の張り感、大腿外側風市穴付近に張り圧痛がある場合、足少陽の気を疎通させると肩上部僧帽筋肩井穴付近の緊張を和らげます。効果が出難い場合、手少陽外関穴と双手瀉法します。耳症状がある場合、完骨穴を加え手少陽外関穴と双手瀉法します。
- 頚椎側刺鍼法・・・頚肩部の筋硬結・圧痛を除く
- 腰椎側刺鍼法・・・腰下肢(大腿神経領域・座骨神経領域)の筋硬結・圧痛を除く