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 腰下肢の痛み

1.腰痛・腰椎椎間関節捻挫(ギックリ腰)筋筋膜性腰痛
2.臀部痛
3.大腿神経痛(だいたいしんけいつう)<広義での神経痛>
4.坐骨神経痛(ざこつしんけいつう)<広義での神経痛>腰椎椎間板ヘルニア
5.股関節痛・大腰筋の痛み
6.膝関節痛腸脛靭帯障害
7.足関節痛・足関節捻挫
8.足底の痛みしびれ足根管症候群 


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[A] 腰下肢の痛みの 東洋医学的鍼治療

東洋医学、正確には鍼灸の原典《黄帝内経コウテイテダイケイ》から内経ダイキョウ医学と言いますが、この医学の治療理論では、全身をめぐる経脈の気の流れが順調であれば病にならず、経脈の流れが何らかの原因で阻害されると病が生じると考えます。

したがって、すべての治療は、経脈の気の流れを改善することに始まります。
このために、内経医学的鍼灸治療としては、

まず第一に、脈診、舌診などを行い気の流れを阻害する原因を見つけこれを取り除きます

次に、腰下肢の痛み(症状)のある部位の経脈を触診(切経と言います)をして、硬結・圧痛を診ます。気の流れが阻害され気が鬱滞すると、筋肉に凝り(硬結)が生じ押すと痛みがあります。この経脈の循環を全身性に改善をはかります。
以上の治療によく用いるツボを右図に示しました。

○ 急性の激しい痛みでは、脈有力で数、舌色赤紫などで血熱
傾向を示すことが多く、この場合、椎間関節捻挫など局所の炎
症が予想されます。これに対して、三陰交瀉加透天涼を処方し、
足太陽経脈、足少陽経脈に瀉法し経気の促通をはかると痛み
は軽減します。腰椎椎間板ヘルニアなどの診断を受けている場
合にも下肢伸展テスト(SLR)での下肢後側から臀部の突っ張り
が減り脚を上げる(伸展)角度が広がりるます。

○ 舌診で苔が厚くべた付いているなどでは、陰陵泉を用い水
湿(経脈の流れを阻害する原因)の除去します。炎症局所の浸
出液による浮腫などはこの法方により改善します。この場合、
脈状診では緩弱虚(または濡や軟)の傾向があり、六部定位脈
診では右関上緩、左尺中虚または、左関上尺中虚を呈し、腎虚、
または腎肝虚と見誤る鍼灸師が多い。足三里、陰陵泉瀉法する
と、腎(五行「水」)を賊邪として抑圧していた水湿の邪気(五行
「土」、腎水に対し土克水)が除かれることで、左尺中の脈は旺気
して来ます。

○ ストレスを受けやすいタイプでは、気機鬱滞により張った痛み
が強く出ます。脈状は弦、舌側赤紫、お臍(おへそ)の左側を押す
と張っていて痛みもしくは苦しい感じがします。太衝瀉を用います。
お臍の左の張った感じが減少〜消失すると症状にも軽減感があ
ります。効果が弱い場合には内関を加えます。

○ 腰痛下肢痛を訴える方では頚の後ろから背筋から腰まで全て
張った感じでつらいということが多いですが、これは足の太陽経脈
の気の流れの鬱滞症状です。申脈を瀉法すると脚の後ろから背
筋、項まで楽になります。
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[B] 腰下肢の痛みの神経解剖学的鍼治療

次に、第2法として伏臥位にかわり
腰椎側刺鍼法・・・・腰神経の鎮静をはかります。
この法方は私が鍼灸専門誌「医道の日本」に発表した「脊椎側刺
鍼法」{「頚椎側刺鍼法」「胸椎側刺鍼法」「腰椎側刺鍼法」}の腰
椎(腰神経)に対する刺鍼法です。
左図のように殿下肢の筋の硬結・圧痛と角筋の神経支配から腰
椎側の神経根への刺鍼部位を求め、さらに腰椎側刺鍼点での深
部圧痛の確認にて正確な刺鍼効果を得ることができます。

患者さまのことば・・・・
いろいろな治療院へ行ったことがあるという多くの患者さまから
   『先生の鍼は効きます』とか
   『今まで受けた治療院のなかで一番効果があった』とか
 ある患者さん(当時60歳)では
   『俺は硬派で、お世辞を言ったり人ほめたりしない人間なん
   だけど、先生の鍼は本当に効く。 俺は若いころから腰痛症
   新宿から南林間までの小田急沿線の鍼灸院という鍼灸院
   60軒近く行ったことがあるが、先生の鍼が一番効く』・・・と、
この治療法で数多くのお褒めのことばを頂戴してきました。
当院の治療効果が他の治療院より高い理由
 @ 個々の患者の状態に合わせた東洋医学的鍼治療を行い
   患者自身の回復力が出てくる。
 A 神経解剖学的鍼治療では、効果の出たことを硬結・圧痛
   の軽減〜消失で確認します。このため正確な刺鍼と確実
   な効果を得ることができます。
筋神経単位と言って大脳前頭葉運動野から出た運動神経は効果器の筋細胞と1対1の関係で
つながっています。 したがって、筋肉の硬結がある=緊張亢進しているときは、運動神経も緊
張亢進=興奮しています。 腰椎側の刺鍼でこの神経の神経根付近に鍼が至ることにより神経
の興奮が鎮静されると、この神経の支配域の筋緊張(=硬結)は軽減〜消失します。 運動神経
の興奮が治まると同時に同一脊髄から出る知覚神経も鎮静され痛みやしびれも軽減〜消失します。

1.腰痛・腰椎椎間関節捻挫(ギックリ腰)・筋筋膜性腰痛
  

@ 腰痛・腰椎椎間関節捻挫(ギクリ腰)では上記[A][B]の治療で解消します。
前屈動作で痛みや突っ張りが
ある場合、「運動刺法」を用い
ます。
前屈動作以外、、後屈(伸展)
で痛む場合や側屈で痛む場合
にも用いることができます。
A 筋筋膜性腰痛  ほとんどの腰痛は上記[A][B]の治療で解消しますが、腰部を外方から背骨方向へ
  押し込むと硬く張った感じで痛みが残る場所があります。 この部いには筋筋膜性疼痛として局所的
  に処置します。
第12肋骨の下から腸骨稜の
間を腰椎方向へ押し込むよう
に圧診すると、腰方形筋が硬
く触れる場合があります。
腰部の疲労が現れやすいとこ
ろです。
圧痛は第2腰椎肋骨突起と
第3腰椎肋骨突起へ向けて押
し込んだとき出やすいようです。
刺鍼は著明な圧痛のある肋骨
突起の下縁から腰椎へ向けて
刺入しますが、やや斜め上方へ
向けると鍼感が得やすく、鍼感
を得ると硬結・圧痛は消失しま
す。
また、肋骨突起の前は、腹腔後
壁の背側にある大腰筋になり、
外側からの圧迫はこの筋の圧痛
も拾っている可能性があります。
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2.臀部痛(腸脛靭帯 ・膝関節外側の痛み ・上臀部痛 ・坐骨神経痛
 

○ 後上腸骨棘外下部の圧痛
右図)と、臀部外側の大腿筋
膜張筋の硬結・圧痛は、前述の
「腰椎側刺鍼」の第4腰椎側の刺
鍼にて消失します。
この場合大腿外側に張りや圧痛
があることが多く、膝の外側に痛
が起きやすくなります。これは、
大腿筋膜張筋が腸脛靭帯を引っ張
っている筋肉だからです。スポーツ
選手に多いこの靭帯の故障の原因
はこの大腿筋膜張筋の凝りが取れ
ないことで起こり、これが緩むことが
治癒を早めることになります。
○ 上臀部の痛みは、梨状筋の上の
  隙間(梨状筋上孔)から出て上臀
  部へ上って行く上殿神経の痛みで
  す。第5腰神経にの枝ですので、
  第5腰椎側刺鍼を用いますが、これ
  だけでは消えないことが多く、同時
  に上臀部からこの神経の圧痛へ向
  けて刺鍼し双手瀉法を用い鍼感を
  得ると軽減〜解消します。
○ 坐骨神経は梨状筋の下の隙間(梨
  状筋下孔)から出て太ももの後ろ側
  を下って行きます。坐骨神経痛では
  臀部の下の方の骨の出っ張りの坐
  骨結節付近に痛みが出ることが多い
  ようです。太ももの後ろの中央やや
  外寄りのところに圧痛があります。
  第5腰椎側刺鍼で著効が出ることが
  ほとんどです。膝から下(下腿部)の
  痛みも治って行きます。
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3.大腿神経痛(だいたいしんけいつう)

大腿神経痛、または、大腿神経領域の痛みは、坐骨神経痛、または坐骨神経領域の痛みほど有
名ではありません。神経領域の痛みとしたのは、「神経痛」は発作性に短時間(数分程度)起こるを
繰り返す状態を言うためです。坐骨神経の領域は臀部の下から太ももの(大腿部)の後ろ、そして
膝から下の下腿部・足部の前・外・後全てです。また、下腿部には腓骨側に腓骨神経があり、ふくら
はぎの奥の脛骨の後ろに脛骨神経がありますが、これらは坐骨神経の枝分れしたもので、坐骨神
経の一部です。さらに腓骨神経は長・短腓骨筋に行く線脾骨神経と前脛骨筋へ行く深腓骨神経に枝
別れしています。
大腿神経痛、または大腿神経領域の痛みでは太ももの前・外・内側に痛みがあります。太ももの前面
の付け根のところ、鼠蹊部(鼠蹊靭帯の下の鼠蹊孔)から神経は出て来ますが、この部にビリッとした
痛みが起こることもあります。大腿神経痛の場合はここに圧痛があります。
痛みが起こるとその部分の筋肉が凝っている(硬結・筋緊張亢進)ことに気が付きます。痛みは筋緊張
を引き起こしますが、しかし、痛みが出る前に筋緊張亢進(硬結・凝り)があると言った方がよいでしょ
う。多くの場合、神経痛の原因は神経が脊椎から出てくる神経根のところで炎症や圧迫、牽引を受ける
ことで生じます。極微弱な痛み感覚の場合、脳で意識にのぼる手前で不必要な情報として消されてしま
う(ゲートコントロール)ことがありますが、運動神経の刺激(=興奮=緊張、全て同じ意味です)はある
閾値はあるものの、伝達を遮断する仕組みはありません。このため神経の根元での興奮は筋肉の緊張
亢進となり、これが持続的であれば筋は疲労状態(凝り・硬結)となります。
東洋医学的鍼治療で全身性に過剰な緊張を除き(特に自律神経の交感神経の緊張を除く)、腰椎の脊
椎側刺鍼法(腰椎側刺鍼法)で神経根部での神経の鎮静と血流改善による消炎、浮腫の改善等により
即効的効果があります。大腿部の筋硬結を治療(刺鍼)の前後で触診し、刺鍼により硬結が消えること
を確認することで、刺鍼が正確に行われ有効であったかが分かります。



4.坐骨神経痛(ざこつしんけいつう)・腰椎椎間板ヘルニア

(ここでの「神経痛」は広義のもので坐骨神経領域での神経症状全般を指します)
坐骨神経は第5腰椎側刺鍼が著効します。
腰椎椎間板ヘルニアでは、炎症・浮腫・筋の過緊張除去(筋肉が突っ張ていると神経が圧迫や牽引
されしびれや痛み等の神経症状がさらに強くなるためです。)
経験的には、SLR(下肢伸展挙上テスト)陽性の場合でも鍼治療後は軽減感があり、歩行なども楽
になります。



5.股関節痛・大腰筋の痛み

股関節の痛みで変形がそれほどでもない場合、鍼治療で関節周囲の筋の状態をよくすると症状が
楽になる場合があります。大腿前面の脚の付け根付近を押すと痛いことがありますが、これは大腰
筋という大腿骨を引き上げて股関節を曲げる筋肉の痛みである場合があります。

脚が上がらない上げ難い
腰椎側刺鍼は、腰椎から出る神経の鎮静を狙ったものですが、腰椎の前のインナーマッスル大腰筋
の過緊張・突っ張り(=硬結・筋疲労・筋力低下)をも改善し、脚を上げやすくします。
腰神経は腰椎の神経孔から出ると前枝と後枝に別れ、後枝は腰椎の脊柱起立筋へ分布し、前枝は
腰椎肋骨突起前の大腰筋との間で行く先ごとに神経線維をまとめる腰神経叢を形成しています。



6.膝関節痛・腸脛靭帯障害

強敬靭帯での膝関節外側の痛みと同様に、大腿四頭筋が硬く凝った状態では膝関節に痛みが起き
たり、膝関節の腫れなどの症状が治り難くなります。
治療では、東洋医学的・経絡的に対応した後、腰椎側刺鍼法を用い大腿四頭筋の硬結・圧痛を除く
ことが重要となります。

東洋医学[内経医学]対応が特に必要な場合とその処方は・・・
@関節の腫れや熱感があるとき・・・・
   炎症を抑え熱を除くために、三陰交、曲池、足三里、内庭に瀉法加透天涼とします。
A膝関節内に水が溜まっている・・・・
   水湿を運化する力が落ちています。足三里瀉、陰陵泉平補平瀉を用います。
B関節の特定のヶ所に痛み、圧痛がある、または、残る・・・・
   反対側刺鍼を用います。不思議なことに、痛みがある場所の反対側、右なら左、左なら右の対称
   点に刺鍼しすると、刺鍼していない痛い方の圧痛が軽減〜消失します。左が陽なら右は陰になり
   ますが、「内経医学」では「陰の病は陽にとり、陽の病は陰にとる」という法方論があります。
   また、反対側刺鍼を行い軽減したがまだ圧痛が残る場合、そ点に母指頭大のモグサで、熱さを
   感じたら取り除いてしまうお灸をします。多くの場合、ピタリと痛みが消えます。


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7.足関節痛・足関節捻挫

足関節捻挫の多くは、外踝側に起
きますが、これは足関節を回内方
向に引く筋肉が疲労状態となってい
て筋力が低下しているためと考えら
ます。足関節を回内させる筋は下腿
外側の骨(腓骨)に着く長腓骨筋と短
腓骨筋ですが、ほとんどの人はこの
筋が硬くこわばっています。この状態
で酷使したり、不意に捻って体重が
かかったりすると筋力で応じきれず捻
挫(関節面が一時的にズレて関節包
や靭帯にキズが付き炎症を起こす)と
なります。
この筋の硬結を取り除くことは、足関
節捻挫の予防にも、治癒を早めるこ
とにも有効です。

経脈的には、足少陽胆経の気の流れを促進させることが重要となります。
関節の腫れや浮腫、痛みや圧痛の治療法方は膝関節痛の治療と同様です。

8.足底の痛みしびれ・足根管症候群

足のしびれや痛みでは、痛みしびれの範囲が重要です。
@ 足底の趾(足の指)付け根から土踏まず付近・・・・・
    足根管症候群だと、内踝とカカトの間を打診すると痛みしびれがあります。
    症状が進むと「尖った砂利の上を歩くような痛み」となります。
    初期のものは鍼治療で治りやすい。
A カカトから土踏まずに痛み・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
     足底筋膜炎、足底腱膜炎。鍼治療で軽減して行きますが、治り難い場合があります。
B 足の内側(親趾側)に痛み、しびれ・・・・・・・・・・・・・・・・
     第5腰椎からの神経(第5腰神経)の症状の場合が多い。坐骨神経痛の治療で治ります。
C 足の外側(小趾側)に痛み、しびれ・・・・・・・・・・・・・・・・・
     第1第2仙骨神経の症状です。坐骨神経痛の治療法で対応します。腰椎側刺鍼は第5腰椎側
     までですが、神経が連絡し合う場所(仙骨神経叢)は梨状筋の前面であるため、坐骨神経痛の
     治療でこの筋の緊張がと取り除かれると症状は改善します。
     また、患者個体の感受性にもよりますが、神経は強い刺激は脊髄の段区(レベル)の高さを超
     えて影響します。ある感受性の強い患者さんでは、第12胸椎側の浅い刺鍼で第4、第5腰神経
     領域の痛みが治ってしまったことがあります。
     もし、梨状筋の硬結・圧痛が取れない場合(梨状筋症候群)は、臀部からこの筋へ刺鍼すること
     になります。


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